第7回日本理学療法管理学会学術大会 大会長挨拶

第7回日本理学療法管理学会
学術大会長 松田 徹

亀田リハビリテーション病院

理学療法管理者がマネジメントする対象は、「個人」・「チーム」・「組織」と多層構造を呈し、対象となる事業所も多様化しています。また平時における日常的な管理業務はもちろん、昨今の新型コロナウイルスや自然災害等の有事を見越しての業務継続計画の作成と遂行が求められるなど、対応すべき範囲も拡大しています。さらに、提供する理学療法サービスにはTQM(Total Quality Management)推進が求められるなど、近年ではサービスの質管理の視点も重要とされています。また理学療法管理者を取り巻く環境変化は目まぐるしく、直近では2024年度の医療・介護・障害のトリプル改定にむけた対応準備も迫られています。

このように理学療法管理者に求められる要求水準は高くなっています。しかし、理学療法管理学の学問体系が整備されたのは、2018年第4回指定規則改正以降であり、多くの管理者は日々手探りの状態で管理業務に従事している状況と思われます。「理学療法管理とは何ぞや?」おそらくこの問いへの解は、それぞれの管理者が在籍する職場環境や、培った経験により異なり、メンタルモデルは共有されていない状況といえるでしょう。

そこで第7回理学療法学術大会のテーマは、「理学療法管理メンタルモデルの構築」としました。メンタルモデルとは、頭の中にある「ああなったらこうなる」といった「行動のイメージ」を表現したものです(Wikipedia)。共有のメンタルモデルの構築により、理学療法管理業務の信頼性(ぶれない)・妥当性(ずれない)担保につながり、理学療法及び理学療法士の質向上にむけた取り組みの強化や、EBM(Evidence based Management)推進につながると考えます。本学会で使用する理学療法管理のメンタルモデルを図1に示します。理学療法管理は職場の「臨床」・「教育」・「研究」を推進していく基盤となるものであり、スタッフの人的資源管理と職場マネジメントがその中核をなします。本学術大会では、このメンタルモデルの中で理学療法管理に関わる内容を明示し、各分類別の理学療法管理に関する基礎と実践を幅広く学ぶ場を提供したいと考えています。

本学術大会は、国際医療福祉大学成田キャンパスでの対面開催と、オンデマンド配信でのハイブリッド開催(生涯学習ポイント付与)を予定しています。子育て世代の会員含め、皆が学ぶことから取り残されない学会運営を目指します。また、対面開催ではシンポジウムと一般演題発表(ポスター発表中心)など、ディスカッションを重視したプログラムを企画し、オンデマンド配信では、理学療法管理の幅広い知識習得を重視した教育講演を多数予定しています。本学術大会の運営を通して、今後の日本理学療法管理学会の発展に貢献しうる新たな人材発掘と、全国の管理者のネットワーク構築につなげる所存です。運営スタッフ一同、皆さまのご参加を心よりお待ちしております。


図1 本学会で使用する理学療法管理のメンタルモデル